2017.09.01リフブレ通信

3月の下旬に栽培した里芋がすくすくと成長しています。傘のような大きな葉っぱの上に、ポツンといくつもの朝露が結んでいます。暦は、はやいもので24節気の「白露」の季節になりました。72候でいう「白露」の初候は「草露白し」(クサノツユシロシ)ですが、草に結んだ露が白く光って見えることからだそうです。ふと空を見上げると、赤とんぼが楽しそうに遊覧飛行しています。頬伝う風もこころなしか涼しく感じられます。初秋ですね。しかしながら、まだまだ残暑が厳しく、ほんとに秋が来たとは思えない今日このごろです。▼さて、露は大気中に含まれている水蒸気が放射冷却によって植物の葉等に結露したものですが、風のない良く晴れた日に多く見られます。ちなみに露が結ぶ温度を露点と呼ぶそうです。音読みでロ、訓読みでツユ、露呈するからアラワとも読みます。俳句の季語として「露の世」「露の身」「露の袖」などありますが、露は涙や人生のはかなさに例えられています。その他、白露、夕露、夜露、露の玉、露しぐれなどもあります。結んではすぐ消える露を見ていると無常観に、ふと寂しい心境です。露知らずの人生ではいけませんね。▼江戸時代の俳諧師、小林一茶は、50代で、初めて女の子を授かりますが、その娘が2歳になった時、「はへ笑へふたつになるぞ今朝からは」という句を創り娘の成長を心から喜びますが、翌月娘は突然として亡くなります。その時の心情を詠んだ句が、「露の世は露の世ながらさりながら」です。確かに、朝露のように、この世は、儚いものでしょうが、それでも恩愛の情たち難くの心情でしょう。さりながらです。▼露のイメージが少し暗くなりました。そこで元気のでる露を登場させましょう。「甘露」です。古代中国の伝承では、天地陰陽の気が調和すると天から甘い液体が降る、これを甘露といいました。インド神話では、この液体は不死の霊薬とされていたそうです。暑かった夕べに、居酒屋さんで、ギンギンに冷えた生ビールを呑むとまさに、これこそ「甘露なり」です。国や会社が仁政をおこない国民や社員との気が調和すると国にも会社にも不老不死の甘露が降ってくるかも知れませんね。精進しましょう。▼季節は巡ります。「白露」の次候は、「鶺鴒鳴く」(セキレイナク)です。余談ですがセキレイは別名、石タタキとも呼ばれる尾の長い小鳥です。イザナギとイザナミが契りを交わそうとした時、その仕方を教えたと日本神話に出てきます。果物では、梨が美味しい頃です。末候が、「玄鳥去る」(ツバメサル)です。燕が南に帰るころですね。鶏頭の花がきれいな頃です。そして24節気は「秋分」10月初旬には「寒露」を迎えます。露に無常を感じながらも、移り行く季節の情景をたのしみたいですね。それが良き人生を創る気がします。▼「芋の露連山影を正しうす」(飯田蛇笏)大粒の露に山々が映っている光景でしょうか。芋の葉に結んだ小さな露が、天地を映し出しています。儚い1粒の露ですが、希望と限りなく大きな世界が広がっているようです。私の百姓の師匠である90歳の女性が、私が芋畑の草を抜くのを見守っています。「90まで生きとるバッテン、人生は、ほんなこつ、あっという間、露のごたるよ。しっかり踏ん張って生きらんといけんよ」と、心の声が聴こえてきそうです。